知人に筋ジストロフィーという進行性の筋疾患である青年がいます。
彼は今は20代前半の青年。
『自分の経験を誰かに役立てたい』
という彼の想いから小学校時代にうつになった経緯を聞かせてもらいました。
今、同じような状況にいる方のお役に立てれば彼同様嬉しく思います。
何気ない”ズル休み”から不登校へ
彼は小学校時代にうつ病にかかりました。
原因は「ただ学校を休んだだけ」です。
いわゆるズル休みで、本人は休んだだけだったのですが、周りはそうは受け止めず大騒ぎに。
担任の先生は
「障害があることを悩んでいるのでは??」
「クラスの子らが走り回っているのが原因では??」
など”過剰反応”をしてしまったのです。
先生に悪意を感じたわけではないのですが「子ども心に傷ついた」とのこと。
彼は人の気持ちを慮る性格でもあったために、自分自身を責めてしまいました。
やがて本当に学校へ行けなくなり不登校となっていきました。
気がつけば治っていた
彼は中学校から特別支援学校に入ります。
そこでの出会いが良かったようです。
先生と生徒という垣根なく接してくる人たちがいて思春期特有の”くだらない遊び”を沢山経験しました。
入学して2年が過ぎるころには「あれ??」という感じで知らぬ間にうつ病の苦しみから立ち直れたとのこと。
彼は言います。
・うつから抜け出すには環境を変えること
・自分を壊すようなことからは逃げること
・うつを忘れるような、なにか好きなことをすること
この3つが大切だということです。
3つのポイントを詳しく
彼が言ってくれた3つのポイント、私にもよく分かります。
私自身、社会人になってすぐに大失敗を犯し2か月ほど引きこもり状態になったことがあります。
そこから立ち直って今があるのですが、その順序が正に3つのポイントと同じ経緯です。
おさらいがてらにもう一度挙げます。
・環境を変えること
・自分を壊すものからは逃げること
・何か好きなことをすること
この3つです。
一つ一つ詳細に説明していきます。
・環境を変える
そのままですが学校や職場を変えること、です。
その場にとどまるために努力するのではなく、合う環境を探すことに努力するということです。
・自分を壊すものから逃げること
これは他人と自分自身の考えとなります。
他人は自分を否定してくる人ですね。他人を変えるのは出来ないので合わない人とは距離を置くのが一番です。
自分自身の考えとは「逃げた自分を責めない」ということです。
例えば学校や職場を変えたとします。
その変えた事実や諦めた事実を否定しないのです。
「逃げちゃダメだ」
という考えはこの場合、間違っています。
逃げることを責めたら逃げた意味がありません。
せっかく環境を変えて、合わない人と距離を置いたのに、自分で自分を責めたら逃げた意味がなくなります。
逃げていいんです。
最後の「何か好きなことをすること」はうつを直す意味でも、うつを予防する意味でも、人が成長するうえでも非常に大事なことなのでより詳しく説明いたします。
今日楽しかったですか?
私は引きこもりのときは自宅でずっとテレビゲームをやっていました。
ただ、ゲームしながら「あーこのままではマズイなぁ」と頭では分かってはいるのです。
将来のために何かをすべきである
ゲームやってる場合じゃない。
そんなことは分かっています。
でも理屈では体は動かないものです。
変えてくれたのは友人です。
たまたま大学時代の友人に誘われて飲みにいきました。
久しぶりの楽しい時間を過ごせたあとに「もう一回こいつらと酒飲みたいなぁ」と思いました。
それから再び社会復帰へ向けて行動できるようになりました。
友人との楽しい時間が嫌な事を忘れさせて「もう一度こんな時間を過ごしたい」という小さいですが夢を作ってくれたのです。
まずは日々を充実させることから
筋ジストロフィーの青年が教えてくれたことも、私の経験に共通するのも今日一日を楽しい日にすることが大事ということです。
「将来のために」と苦しいことを頑張るのではないのです。
「今日1日楽しかった」
とそう思える日を積み重ねていくことです。
そうすることで心が回復していきます。またうつになるのを防ぐことにもなります。
日々を充実させると心が元気になっていきます。
元気になると「~をしたい」というような小さな夢が生まれます。
その夢が叶うともっと大きな夢を抱きます。
夢のためなら人は努力が出来ます。
これが最も健全でうつ状態にもなりにくい成長の仕方です。
日々を充実させるための方法は例えば車椅子に乗る子なら、自由に動かせる部分を重視してスポーツなり、芸術なり何でもいいので好きなこと、得意なことを出来る環境を探してください。
発達障害や自閉症、知的障害の子であれば「自分にフィットした環境」「分かる環境」が一番です。
彼らの目からすれば世の中は分からないことだらけ。
発達障害や自閉症に理解のある環境へ連れていくこと。
知的で純粋さが残っている子に対してはその純粋さが存分に出せる環境を用意してください。
背伸びするのも大事なのですが、伸ばした足を元に戻して過ごせることも大事です。
背伸び状態がずっと続くと子どもは疲れ切ってしまいますから