私は以前は学習塾で先生をしていました。
自分で言うのも何なのですが子どもからはよく相談を持ち掛けれる方だったと思います。
門限って何のためにあるんでしょう?
「学生は早く家に帰るのは当たり前だから?」
「早寝早起きの習慣を身に付けるのは心身ともに健康だから?」
違います。
正しさや正義のために門限があるのではないんです。
愛している人を失わないために門限があるのです。
ただ多くの場合、親や先生は「正しいから」「正義」を理由に門限を教えます。
ただ子どもを変えるのは正義ではなく愛なんです。
「あなたを失いたくないから」という愛情で子どもをみてください。
門限破り常習の中学生の女の子
私が塾の先生だったころ。
閉まる12時ごろまでずっといて、休日も通う中学3年生の女の子がいました。
彼女は勉強しに塾に来ているわけではありません。喋ってばかりです。。
付き合い始めた彼氏もいてのろけ話を私によくしてくるのですが、あまり会うこともなく塾にいます。
なぜ彼女は勉強する気がないのにずっと塾にいるのか。
なぜ彼女は大好きな彼氏にも会わないのか。
その原因はお母さんにありました。
お母さんは”正しいお母さん”だった
彼女のお母さんは非常に教育熱心でした。
その地域にある進学校へなんとか彼女を入らせたいようです。
私は彼女からの愚痴をよく聞く立場だったので家の事情に詳しくなっていました。
「早く勉強しなさい」
「卒業したらあの学校へ行くこと」
「早く帰るのは当たり前」
と正しさを持って彼女に接しています。
彼女はそんなお母さんに苦しんでいました。
お母さんの言っていることは正論です。だから理屈は言い返せないのです。
結局、彼女は家から逃げるために塾にいるのです。
お母さんが怒るので、付き合い始めた彼氏と会うことも出来ません。
家には帰りません。
塾にずっといますが勉強はしません。
「親と喧嘩するよりはマシ」と彼女は言っていました。
彼女は親と衝突するのを避けるため、駆け込み寺かのように塾にいるのです。
ただどうでしょうか。
彼女の中3の一年間、お母さんの一年間。これは実りのあるものでしょうか。
塾にも電話がかかってくる
忘れもしません、とある休日のお昼です。
私が塾の事務室にいるとき電話がかかってきました。
「ありがとうございます。○○塾の〇〇です」といつもの決まり文句を言うと「〇〇の母です」との声が。
例のアリバイ工作のために塾にいる女の子のお母さんです。
用件を聞いてみると「ウチの子はいますか?」とのこと。
本当に目の前にいたので「いますけど代わりましょうか?」と私が言うと「いえ結構です」と電話が切れました。
「なんだこの電話??」
と思って彼女に話すと「最近親の干渉が酷くなってきた」とのこと。
彼女は勉強しないので成績は落ち込んでいます。でも塾へは通っています。
そこでお母さんは「本当に塾へ行っているのか」と疑うようになったようです。
休日の日に塾への電話は日増しに増えていきました。
親子の仲はかなり悪くなっています。
私に言う愚痴も激しくなってきました。次第にお父さんへの愚痴まで出てきました。
このころになるとその子は塾が閉まる12時ごろまでいるようになりました。
中学生の女の子が毎日深夜の12時まで塾にいるのです。
そこから家へ帰って翌朝には学校へ行くわけです。
彼女自身深夜の街中を帰ることへの危機感がない、というか家にいるお母さんが怖いのでそうする他ないのでしょう。
幸い私がいた塾の塾長は仏様のような心の持ち主でした。
「心配だから」と彼女の乗ってきた自転車を塾の送迎車に積み込んで彼女の家まで送っていました。
この塾長の機転がなければ彼女は何らかの事件に巻き込まれていたかもしれません。
門限は何のためにあるのか
門限とは子どもの命を守るためにあります。
正しいからとか正義じゃないんです。
愛する子どもを危険から守るための門限です。
親の門限を子どもが反発するのは正しさや正義で門限を教えるからです。
「早く帰るのは当たり前だ」ではなく「あなたが心配だから早く帰ってきて」です。
安全な場所でも夜になると危険になります。
例えば昼間の駅前は安全ですが、夜になると危険です。
子どもはそれがよく分かっていません。好奇心で行動します。
それは世の中で毎年のように起こる通り魔事件のニュースが証明していますよね。
だから門限があります。
門限を守らせるのは子どもの命を守るためです。
「子どもは早く帰ってくるものだ」「何時だと思っているの?」「受験前だろ」とかじゃないんです。
「遅くなると危険だから早く帰っておいで」です。
やさしいお母さんになること
私は先生をやっていたので多くの保護者の方と出会ってきました。
正しさや正義を振りかざす正しいお母さんになると関係はもつれてきます。
正しいではなく、子どもの気持ちに敏感になるやさしいお母さんになってください。
子どもたちが求めているのは正義ではなく愛情です。
正義は学校でいくらでも教えてもらいます。家が正義の機関である必要はないじゃないですか。
親子関係のもつれは親が正義を振りかざすことによって生まれます。
子どもを変えるのではなく、親御さんの姿勢を変えてみてください。
ウソかのようにもめ事は解決していきます。
繰り返しますが人を変えるのは正義ではなく愛情です。
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