知的障害ある人が入所施設などで性的被害に遭うニュースが流れてきます。
被害を避けるため、減らす、撲滅のために、学校では性の問題を「知識を教える」という方向ですすめています。
この流れは正しいように思えて、大きな効果は上がらないはずです。
なぜなら「正しいルールを教えたら子どもたちはやるんだ」という発想と同じだからです。
違うんです。
「正しいことでもやらない」のが子どもであり、人間です。
性の問題もハサミや包丁の使い方と同じです。
正しいハサミの使い方を知っていても、心が乱れている人はハサミを凶器に使います。
学校で性の問題を扱うことは増えていますが「知識だけでは解決しない」ということを意識してください。
考える力、判断力が必用。
性被害の現場を想像してみてください。
「相手の欲求が間違っているから断る」という知識では、言いくるめられたら防げません。
教えた通りのシチュエーションになるとも限りません。むしろならないでしょう。
今、学校はサラリーマン化しているので”事務作業”になっています。
バッサリ言えば知識を教えるのが簡単であり楽です。色んな意味で学校で知識以外のことを教わることは難しい。
よって家庭では知識以外の考える力や判断力を意識してください。
主人公になること
性的被害を避ける、という意味合いで普段から本人が選ぶ習慣を設けてください。
簡単なことはすぐに出来ると思います。
ポイントとなるのは「非効率的」「不都合」であっても本人の選択なら尊重することです。
学校では先生が指導してくるので、意志の尊重がかなり弱い。
私が支援学校で先生していたとき見かけた光景ですが、子どもたちの非効率的な判断に対し指導する先生は多いです。
「違う。こっちの方が効率的でしょ?」という教えです。
バッサリ言って、これが最悪です。
自分が選んだ結果の責任を自分が負う。
この経験が「考える力」「判断力」を育みます。
教えないこと、評価しないことがポイントです。家では選ぶ機会をなるだけ増やしてください。
選ぶ内容は小さいことから。例えばご飯でも、着る服でも、遊びに行く場所でも構いません。
大きい判断も任せましょう。
例えば進路先の選択もなるべく本人任せにしてください。
重要な判断こそ本人が担うべきです。
正解を選ばせることに努力するのではなく、「失敗したらフォローしよう」という心構えでいてください。
自分が選んだ結果の責任を自分が負う。
これは「人生の主人公になる」ということです。
ドラマや映画で、最初から最後まで指図されたことに従っている主人公はいません。
自分に従って行動し、選び、結果を受け入れることで主人公になります。
多くの知識は小手先に終わります。
もっと根元にある「嫌だから断る。自分は主役なんだ」という意識をもってもらいましょう。
学校はルールの正当性を教え、評価します。
ただ「教える」「評価する」では伸びない「心の力」が実は山盛りにあります。
ルールで「心の力」は伸びません。
そこに気づかないゆえに問題は起き続けています。
例えば「支援学校は先生が多いから良い」というのは定説ですが「先生が多いからがんじがらめだ」という意見を聞きません。
我々の意識を変えることで、起き続ける事件はもっと減らすことが出来ると思っています。
家庭ではぜひ普段の生活から選ぶこと、主役になることを意識してください。
意志を持つことが、事件を避けることに繋がります。