「人間見た目が9割」っていう話ありますよね。
まぁ9割が妥当かは分かりませんが視覚から多くの情報を得ており影響力が高いのは本当だと思います。
実は教育も同じ。
耳であれこれ言うより、”目”で教えることの方が大事です。
ただ目で教えるのは非常に大変なのです。行動が伴うからです。
一方耳で教えるのは簡単。言うだけですから。
ただめんどくさい目で教えることですが効果は抜群です。
今回は「掃除しなかった生徒たちするようになった話」を絡めて目で教えることの大切さをお話しします。
掃除の時間サボりまくる生徒たち
とある中学校の話です。
掃除をする生徒がほとんどおらず散らかってばかりのクラスがありました。
先生が注意してもやるには一部の生徒のみ。結局は一部の生徒のおかげで掃除は成り立っています。
ただこのクラス以前はそうではなかったのです。
実は少し前までは怖い先生が担任を持っていました。
威圧的な先生だったので、子どもらは”賢く”振る舞います。パッと見は大変教育の行き届いたクラスのように見えます。
ただその怖い先生がしばらく休むことになり、代わりの先生が来ることに。
代わりの先生には特別威圧的な雰囲気はありません。
子どもらは今まで我慢してきた反動のように自由に振る舞います。
掃除の時間は一部の生徒は真面目にやりますが、半数以上の生徒がサボりだします。
先生がいて注意すればまだやりますが、いなければ手を抜きます。
掃除禁止令
困り果てた先生は一案考えます。
なんと「掃除禁止令」です。
「掃除しなさい」ではなく「掃除してはいけない」としたのです。
禁止令の狙いは罰則じゃないですよ。
目的は「掃除する意味を教えること」です。
クラスでは本当に掃除が禁止になりました。
3日も経たないうちに教室の床はゴミだらけです。
それでも「掃除禁止」は続きます。
どんどん教室は汚くなっていきます。
ゴミだらけ教室をみて「掃除をしないとどうなるのか」「なぜ掃除をするのか」というのを子どもらは実感していきます。
2週間ほどして「掃除禁止令」は解除となりました。
結果どうなったか。
子どもたちの大半が掃除に加わるようになりました。
この先生は掃除することを目で教えたのです。
汚れていく教室を見せて掃除をしないとどうなるのか。
したあとはどれだけ快適に過ごせるようになるのかを言葉ではなく目で見せたのです。
言葉で言えば「自分たちが過ごす場なのだから自分たちで掃除しよう」ということ。
ただ言葉でそれを言ってもあまり伝わらないのです。
目で見せて、それを補完するように言葉で話す。これでやっと相手に伝わります。
言ってダメなら見せてみよう
威圧的な雰囲気や怒鳴って教えるのは耳で教えることであり恐怖心で伝えるということ。
耳からの情報は届きにくいですし、恐怖心からの行動は怖い対象がいなくなれば元に戻ります。
言葉で言ってダメなら目で教えることです。目でモデルを見せるのが一番。
勉強であれば例えば受験生では志望校に実際に行って学校を見せることです。
スポーツであればプロの試合や自分より実力が上の人に憧れを抱かせることですね。
身近な人、つまり家族の行動も大事です。
例えば親が休日に家でぐうたらしているとします。
ぐうたらしている親が子どもに「勉強がんばれ」と言いました。
この場合、子どもは「勉強しよう」と思うのか「休日はぐうたらしよう」どちらを選ぶでしょうか。
ほぼ間違いなく「休みの日はぐうたらで過ごす」を選びます。
目で受ける影響の方が大きいのです。
・・・まぁ、働いているお父さんやお母さんが「ゆっくりしたい」のはもっともな気持ちなんですけどね。
ただ子どもは「休みの日くらいはゆっくりしたいんだ!」という大人の事情は考慮してくれないんですね(笑)
どれだけ仕事が大変かは子どもには分からないですから。
ただ大人になれば親の気持ちが分かります。そこで初めて感謝したりするものです。
この辺はみなさんも経験あるのではないでしょうか。
というわけで教えるのに最も効果的なのは耳ではなく目で教えることです。
言葉で教えることは簡単ですが、その分効果が薄いんです。
目で教えるのは「背中で教える」という例えに近いですね。
実行するのは大変ですが、本当に伝えたい大事なことは実際の姿で見せて教えることです。