私の知人に車椅子にのる青年がいます。

彼は20代前半。自立訓練の施設に通っていますが、そこを自主的に退所するとのこと。

理由を聞くと「ここにいるとダメになりそうな気がする」ということでした。

 

本当に分かってないのはどっちだろう

私は彼と一緒にマクドナルドで夕食食べていました。

彼は今いる訓練施設の愚痴をこぼしていました。飾ることない彼の性格から言っても真実なのでしょう。

相談員の方は「とにかくどこかの場所へ行こう」の一点張りだそうです。

 

ただ彼は「それは自分が望んだ道じゃない」とのことで拒否しました。

そしてその施設にいる以上、延々と相談員からのススメが続くのでうんざりしたとのこと。

 

また、うんざりするのもイヤなのですが相談員の人が「君は何も分かっていない」という目線で見てくるのも耐えられないそうです。

周りの子らはみんな相談員の言うことを聞いて、勧めるがままに進路先を選んでいます。ただ彼はそうしません。それが「分かってない」と相手からは思われているようです。

 

「いや、お前ほど真面目に人生考えてるヤツいないよ?」と私は言いました。

彼は涙目になっていました。

その目を見て「やっぱり彼が正しい」と私は思いました。

 

卒業生はどう思っているのか

私の知人に車椅子に乗る女性がいます。彼女も20代前半です。

彼女は自分の意志を主張しつつも、周りの意見も尊重します。進路選択は相談員の勧めるがままに選びました。

 

彼女は今、どう思っているか。

「なんか違うな」と思いながら日々を過ごしています。

 

そう考えると「分かってない」のは相談員なのか、利用者なのか。どちらなのでしょうか。

 

大事なのは自分で選んだかどうか

もちろん障害ある人の進路先の選択肢は多いとは言えず、自由に選べない事情はあります。

ただその少ない選択肢でも本人が選ぶまで待つべきです。

「なんか違うな」と感じている彼女ですが、話を聞いていくと「とりあえずここに行ってみよう。そこで学んで次に行けばいい」という風に言われたのですが、次の紹介をその相談員さんはするわけではありません。

 

僭越ながら私が相談員の立場ならギリギリまで待つでしょう。

同じ選択でも自分で選んだか、選ばされれたかでは納得の度合いが違います。

 

小学校から中学校へ、特別支援学校からの進路選択など選ぶ選択肢は多くはないかもしれません。

また大人から見ると頼りない、合理的な判断をしないかもしれません。

 

それでも実際にそこへ通うのは本人です。

本人が納得のいくよう「自分で選ぶ」ことを尊重してもらえたらと思います。