『私ってなんてダメなんだろう・・・』
『こんなことも出来ないなんて母親失格だ・・・』
そんな想いにとらわれてしまう方お母さんがいます。
私は学校の先生をしていました。
担任を持った生徒のお母さんで非常に強気というか「あ、この人元ヤンキーだな」と思われる方がいました。
自分の考えを強く持っている方で、周りには流されないタイプです。
最初は疎遠でしたが、いつの間にやら仲良くなって、ただの事務連絡の電話が2,3時間続く長電話になっていました。
家庭環境としては母一人と子二人の母子家庭です。
普段は周りに強気な姿を見せているので、子育てに関する悩みや愚痴を話せる人がいなかったのかもしれません。
ある日、そのお母さんと電話で話していると段々と涙声になっていました。
話を聞いていくと周りのお母さんが当たり前のようにしていることが出来ておらず『申し訳ないと思う』とのことでした。
子どもはスモールステップで
”スモールステップ”という言葉をご存知でしょうか。
直訳すると小さな歩幅です。要は「ちょっとずつ上達していこう」という教育の考え方。
子どもの成長は一日やそっとでは変わりません。
例えばテストで30点だった子が急に70点取るなんてのはないのです。
生活面で言えば、毎日寝坊していた子が急に時間通りの行動は出来ません。
よってスモールステップです。
この場合良くないのは「70点なら合格」や「時間通りの行動が出来れば合格」と高い合格ラインを設定することです。
高すぎる目標に子どもはめげてしまいます。
そうではなく30点が35点になったら、その5点をほめます。
毎日寝坊していたら、今日は寝坊しなかったことをほめます。
「本人の良くなろう」とする意志を認めて伸ばすのがスモールステップです。
結果よりも過程が大事。世間よりもその子の基準でというところ。これが無理をさせない効果的な指導方法です。
お母さんもスモールステップで
このスモールステップの大切さはお子さんだけでなくお母さんも同様です。
世間にあふれる子育て情報やマニュアルを参考にはしても基準にしないことです。
もしご自身が『私は30点の母親だ』と思うなら。
70点を目指すのではなく『35点』を目指しましょう。5点上昇すれば合格ですし『良くなろう』とする心が大事です。
例えば子育てに関する情報として『怒るのはダメ、叱るのが正しい』という考え方をよく見かけます。
理論は正しいですし教育の世界にいる人間で言えば当たり前のことです。
ですがそれはプロのテクニックであって、それをそのままお母さんに当てはめるのは無理があるような気がします。
ベテランの先生でも自身の体調によって叱るのを忘れて怒ることがあります。
いつも怒らず叱り続けられる母親は果たしているのでしょうか。
例えば私は親に叱るよりも「怒られた」という経験があります。
それでも親には非常に強い感謝の気持ちがあります。
お子さんもスモールステップならお母さんもスモールステップです。
結果よりも過程。
『良い母親である』よりも『良い母親であろう』と思うことが素晴らしいのだと私は思います。