知的障がいある人に交付される療育手帳。※東京都など関東一部では「愛の手帳」と呼ばれています。
「療育手帳とった方がいいのかな・・・」と悩んでいる方が今回の記事を読んでいらしたら。
悩んだのなら是非療育手帳はとっておいてください。
私は特別支援学校で先生をやっていました。
「療育手帳は持ちたくないなぁ」という生徒や親御さんにも出会ってきました。
でも経験からいって持っておいた方が絶対にいいんです。お守りのようなものです。
とりあえず手帳を取得しておいて、気に入らなければ返すコトも出来るんです。
”損得”で言えば損なことは何もありません。
今回療育手帳のメリットについて書いていきます。
お子さんの将来のため、ご自身のための参考になれば幸いです。
療育手帳のメリット
一番分かりやすいメリットはお金です。挙げればキリがないほどですが、一部を紹介します。
NHK受信料免除、水道、鉄道、バス、レンタカー、遊園地、映画館、携帯電話の割引、公営住宅の優先入居などがあります。
住んでいる地域にもよりますが、療育手帳があると運転免許取得の際に補助金が出る地域もあります。
役所の方から教えてくれることはまずないと思いますので、一度聞いてみるのもいいでしょう。
割引以外にも
・特別児童扶養手当・・・・２０歳未満の保護者に支給されます。障がいの重さにもよって年額４０万～６０万円ほど。
・心身障害者扶養共済・・・任意の生命保険のことです。保護者の方が死去されてから、子どもが死去するまで支払われます。国が行う保険なので掛け金が安いのが特徴です。受け取れる金額は１口２万円、二口４万円までです。
・税金の控除・・・・・・・年収によって変わりますが、年収５００万円で４～５万円ほどになります。
といった優遇措置があります。
療育手帳を持つと就職に不利なのでは
「療育手帳があると就職に不利」と考えるのは軽度の知的障害や発達障害の方が主になると思います。※発達障害の方でも療育手帳の対象になります。
「就職に不利では？？」と心配になる場合は、手帳をみせずに一般枠で就労する方法もあります。
また「もしかしたら知られるかもしれない」と思うなら手帳を返してもいいんです。
手帳を持ちながら企業の”障がい者雇用枠”を狙うというのもあります。
給料的には月10万円ほどが相場ですが、障害基礎年金と合わせれば月15万円ほどの収入になります。
先ほどの療育手帳による割引制度と合わせて考えてみてください。
お金的にかなり恵まれた生活が出来ますよ。
仕事を長く続けるためにも
軽度知的障害の方や発達障害の方が一番苦労するのは「障がいが目に見えにくい」です。
合理的配慮がえられない場合がやはりあります。
療育手帳があると、ジョブサポート（ジョブコーチ）といった就職支援を受けることが可能です。
就職支援には就職するための支援だけでなく、就職したあとの職場定着のための支援を受けることも出来ます。
障害者雇用では正社員になれない？？
そんなことはありません。
障がい者雇用で入ったとしても正社員の道が開かれる場合もあります。
私の知人で知的障害ある子は一般枠で入社した健常者の社員と同期入社していました。
数年経って同期入社した方は退職して彼がずっと残っています。働きぶりが優秀なので正社員の道もあるとのことです。
手帳があると役所も親切
療育手帳を持っていると市役所の福祉課で把握されます。
「〇〇市〇〇町には手帳をもっている〇〇さんがいる」という風にです。
これが非常に大事なんです。
冒頭で手帳は「お守り代わり」といいましたがこのことです。
例えばご両親が亡くなられて子どもが自立することになりました。
一人暮らしです。
その状態で勤め先が倒産しました。こうなると心配ですよね。
こんなとき療育手帳が効果を発揮します。
市役所が手帳の所有者を把握しているので、救済措置が手早く進みます。
何もない状態であれば「障害がある」「配慮がいる」の証明から必要なんです。
手帳があればその手間が省けます。また役所にも寄りますが、困った状態になってないか気にかける役所もあります。
もしこの記事を読んでいる方で「療育手帳とった方がいいのかな？？」と悩んでいらしているのなら。
是非取得しておいてください。
繰り返しますが「やっぱり必要ないな」と感じたら返してしまえばいいんです。
「だまされた」と思って取得してみてください。きっと後悔いたしませんので！！