就労アセスメントなんて無駄無駄です

・・・と書くと多方面から怒られそうですが。
私ごとですが、この記事を書いている時点でフリーランスになりました。
フリーランス=組織に属さずに働く人、です。しがらみがなくなったので、もっと自由に文章を書いていきます。
そんなことはどうでもいいですね。本題に入ります。
2015年度から就労に関してのアセスメントが始まっています。
アセスメント=評価、査定
とお考えください。
このアセスメントの目的は「障がい者の能力に最も適した働く場を見つけ働く力を身に着ける」というものです。
これをざっくり主観を交えて言いますと
「障がい者の能力を最大限に引き出して、生産性を上げて税金を納めてもらう」というところです。
このアセスメントの是非は微妙なところですが、障がい者の方本人の収入アップにもつながるので悪くはないかな、と思います。
身近に障がい者の方がいる場合はお分かりかと思いますが、とにかくお金が回ってきていません。
制度としても老人福祉と障がい者福祉では障害者福祉の方が遅れています。
そんな実情を知ってもらうために、景のコラムを掲載いたします。
景は筋ジストロフィーの20代前半の青年です。このサイトに何度か寄稿してもらっています。
今回は ”景のお金に関する悩み”です

 お金がかかる障がい者の生活 by景

最近、筋ジスが進行する前に、介護用品をそろえるべきかどうか考えている。
だが、ひとつ悩みの種がある。
高齢者の介護用品のレンタルまたは、購入の場合の負担額と障がい者が負担する額が、違うことに驚いた。
高齢者の方が安くなっている。介護ベッド購入にかかるのが20から30万(自分調べで)かかるのだが他にも必要なものもある。一般家庭使用の風呂も直さねば。
自身の障害年金の支給額9万ちょっと。
作業所での収入が、約4000円。実家暮らしではあるが。なかなかきつい。親の助けといっても難しい。
低所得の家庭で、兄弟の学費はまだまだかかる。頼るわけにはいかない。
さらに、考えなければならないことがある。グループホームの空きができた場合を思えば、介護用品をそろえても、投資が無駄になる。
グループホームというのは、障がい者の生活の場で肢体不自由専用の施設。施設自体が少ない。そのため、
空きができれば、すぐにでも入所を考えないといけない。
また、競争率も激しい。あいかわらず、障がい者の置かれている現状は厳しい。
今回は、こんな感じで景の悩みを書かせてもらいます。
以上。さらば

就労アセスメントは失敗に終わります

景の作業所での収入は月4000円です。40000円ではありません。安すぎですね。月4000円だと月の食費にもなりません。

これには地域や作業所によってのばらつきはあっても概ね同じようなものです。

給料が低いところには共通点があります。それは仕事内容が市場とは関係のない「福祉の世界」で行われている内容だからです。

もう少し具体的に言いますとネジの袋詰め作業や”商品価値”を見出せないものを生産し、「買うのは身内のみ」といった「福祉の世界」だけで流通させている状態です。

 

私は就労アセスメントは失敗すると考えています。失敗もしくは費用対効果の見込めない取り組みとなるでしょう。

アセスメントの目的はくだけて言うと「障害者の生産性を上げて、税収を増やそう」というものです。

「失敗に終わるだろう」という理由は何点かありますが、最大の理由は、障害者一人一人の生産性が高くないのは本人の問題や能力を過小評価されているのではなく、就労場所の収益構造に問題があるからです。

例えば上記の景ですが、彼は知的障がいはありません。性格的にも真面目でコツコツと努力を積み上げられる粘り強さがあります。

そんな彼の給料が月4000円。景の就労日の関係もありますが、月20日働いたとしても1万円いかないでしょう。

これは景に限った話ではありません。

 

障害者の生産性が低いのは、本人の問題や能力の査定が問題なのではありません。就労場所の収益構造が問題なのです。

1個0.1円といった下請け作業や「買うのは身内のみ」といった商品価値の低いものを生産している就労場所が問題です。

障害者の収入を増やすためには

何事も批判するだけでは問題は解決しません。代替え案が必要です。

私の頭の中にある代替え案を一つ挙げますと、「作業所の新規参入を増やす」というのが一番です。

 

規模が大きくなり安定期に入った組織は保守的になります。作業所も例外ではありません。

「作業所の収益構造を変える」という目標達成のためには新しい発想が要ります。そのためには今ある組織をどうこうするより新しく立ち上げることです。

とはいえ、作業所の新規参入というのはハードルが高いというのは承知しています。規模の大きいところでは「社内ベンチャー」と言う形も考えられますが、現実には厳しいところでしょう。

 

目指すは作業所のイノベーション!

 

・・・”決意表明”で終わってすみません。※合わせて景にもごめんなさい。

記事冒頭で私は”フリーランサーになりました”と書きました。前職は障がい者関連の施設で働いていました。

フリーになった理由は沢山あるのですが、私は作業所の構造改革を考えています。前述したとおり、既存の組織から大きな変革は望めません。やるなら新規です。

障害者福祉の世界に足りないモノはお金です。真面目な人、優しい人は多くいます。足りないのはお金です。

優しくて真面目職員さんが辞めていく事態を何度も見てきました。理由は「この職業では生活が成り立たないから」です。

景の話にもあるように、障がいが重たいほど、お金もかかります。しかし「稼ぎたくても稼げない」のが現実です。

こういった事態をいい加減終わらせましょう。私は作業所にイノベーション(新しい価値を創る)を起こすことを考えています。

そのための方法を今後も載せていきますので、現状に不満、将来に不安がある方は一緒に学んでいきましょう。

失敗したっていいんです。失敗したということは「その方法がダメだったというのが分かった」ということであり前進なんです。