沢山の子どもたちに出会ってきて

私は特別支援学校で先生をやっていました。

筋ジストロフィーの子らとも沢山関わってきました。

 

彼らから教わった「人にとって最も大切なことは」をこのブログを通して書いています。

 

知人に筋ジストロフィーの青年がいます。

名前は”景(きょう)”といいます。

 

彼は小学校時代にうつ病と診断されました。

中学、高校へと進んでいく過程でそれを克服していきました。

「悩んでいる人の助けになりたい」と彼は体験を語ってくれています。

 

まずはそれをお読みください。

 

なぜうつ病になったのか

障害は筋ジスストロフィー。 知ったのは幼稚園の年長の時。

走るのが遅く、立ち上がるのもやっとで息が切れていた。 人とは違うと思った。

 

うつ病の始まりはほんとに些細なこと。 「ただ、学校を休みたいだけ」 という何の理由もない、気分的な問題だった。

 

当時を振り返れば、自分は人と関わるのが苦手で、何かと気を使う性分。ネガティブに物事を考えていた。

人に嫌われるのが嫌で 面倒なことからは逃げるように生きていた。

だからか、 人を遠く離れた場所から見る。 周囲を傍観しているような感覚を持って生きていた。

 

なんの理由もなく学校をさぼったのが原因で鬱になるようなことにあるのか?

不思議に思うでしょう。

 

理由を説明すると自分は筋ジストロフィーの障害を持っており肢体不自由。小学校の障害児学級に入っていた。

 

そして自分が学校を休みだすと担任教師があーでもない こーでもないと、理由を付けた。

例えば 「周りの子が 走ったりするから」とか 「障害を理由に人との 違いに気づいたから」なんて理由を。

 

しょうもない理由を周りの友達に話してしまったらしい。 まぁ 勝手な理由つけるよな、大人は、特に。

でも 子供心には傷つく。

そして自分は「なんも考えんと 休まなければよかった」って 思った。

 

気がつけば 自分を 責めて責めて 責め続けて 学校にいけなくなった。

親も変だと気付き、精神科へ。 診断結果………鬱。 という風になってしまった。

 

夢は誰でも描ける

学校というのは、頭を使う場所です。

勉強や知識を頭入れることが教育です。

 

この教育がマイナスの作用に働くことがあります。

景の話はまさにそれで、彼は多面的に考えすぎて、自分の視点を忘れていました。

 

一般に言われる「相手の良いとこ探し」などはやってはいけないんです。

 

どんな子どもでも大事なのは、前向きさであり、心の強さです。

小さい頃から、大人がつきっきりになりますが、そのせいで子どもたちは心が弱まります。

 

「自分はどう生きるのか」という夢が描けなくなるんです。

これは療育や特別支援教育が問題にあげない隠れた課題点です。

 

先生の言うとおり、みんなと同じように。

そんなことを強制してけば、子どもは自分の意志をなくします。

 

景の話には、彼の内心を慮る大人がいなかったことが分かると思います。

幸い、彼のお母さんやお父さんは分かってくれる人だったので、踏みとどまれました。

 

彼の体験は人ごとではなく、全国的に発生しています。

私の魂込めて言いますが、夢は誰にも描けます。

心にある想いがあれば、それは可能であり、「生まれてきた良かった」と思える瞬間は誰にでも訪れます。

 

邪魔をしているのは何かというのは、一般常識やみんなと同じ、成績や学歴重視の社会です。

筋ジストロフィーの子ら始め、彼らは壁に囲まれているんです。

 

壊せるのは、本人の意志とご家庭での理解です。

もう一度言いますが、人には夢を描く才能が平等に備わっています。

 

伸ばすべき、成長させるべきはその才能です。

今ある出来ること、興味あること、それは黄金の種なんです。

 

水と栄養を与えるのか、枯らせてしまうのか。

どちらも出来ます。

学校は枯らせてしまうことが多いんです。

 

景はこうも言っていました。

「今、出来ることを最大限にやろう」と。

 

今ある出来ることが希望であり、夢の欠片になります。

「失ったものを数えるな。あるものを最大に活かせ」

パラリンピック創始者の言葉ですが、人類普遍の真理でもあります。

 

参考までに。

私は過去にうつ寸前にまで、2ヶ月間引きこもりになりました。

「自分には何の価値もないんじゃないか」「自分には何もない」そう思いました。

そして仕事を辞めて2ヶ月間、自宅でゲームだけして過ごしていました。

 

ある日、大学時代の友人から連絡あったんです。「久しぶりに一緒に飲もうよ」というたわいのない誘いでした。

私はその日、友人と一緒に居酒屋で飲んでいました。久しぶりに楽しい時間でした。

 

その帰りに気づいたんです。

「俺にはまだ楽しい時間をくれる友人がいるな」って、そう思えたんです。

 

そしてこう思いました。

「また友達と会いたいな」

「そのためにはどうすればいいんだろう」

「また働かないとダメだ。もう会えなくなる」

そこから社会復帰したんです。

 

人を動かすのは理屈ではありません。

心にどれだけ届くか、動かすか。

 

学校の先生は、それが世界の常識かのように、みんな同じや能力の向上を言うでしょう。

大事なのはそんなんじゃないんですよ。

 

個人の心にある夢を描くこと。

景は落ち着いた環境が好きでした。本を読んだり魚釣りなどを好みます。

彼のセンスは繊細であり、心落ち着ける人間関係がほしい。

友達も少なくていい。出来れば自分の経験が誰かに役立てば嬉しい。

 

人間とはそういうものなんです。

みんな社交的に、仲良く、明るくならなくていいんです。

 

景は卒業したあと「もう仮面被らなくていいんだ」と肩の荷が下りたといっていました。

学校は背負わせます。

「社交的で明るくて、友達付き合いよくて、積極的な子がいい」

 

それらはウソです。

交友関係狭くていいし、どうしても嫌なら嫌でいいんです。

 

お子さんが筋ジストロフィーであったのなら。

親御さんは出来ることをまず数えてください。

親御さんの姿勢はそのまま子どもの意識に繋がります。

 

景は「親が落ちこんでいるのが見てて辛かった」と言っていました。

ただある時期を境にお父さんがまず変わったそうです。

「障害なんか関係あるか!」と景をモトクロスバイクに乗せたり、あちこち連れて行った。

 

その経験は彼にとって今でも宝物になっていて「あれは良かったなぁ」と語ってくれます。

 

社会人になって景はこうも言っていました。

「周りはどう思ってるか知らんけど、俺は普通だよ。今の生活も満足してるし」

 

こうなれた理由は、自分にウソをつくことがなくなったから。

もっと言えば「こうしなさい!」という学校環境から離れたからです。

 

三度目ですが、人には夢を描く才能が絶対にあります。

才能を咲かせるには自分にウソをつかないこと。楽しいや好奇心を大事にすること。

要は頭ばっかり使ってはダメなんです。

頭を使えば、心が止まります。

 

特別支援教育の最大の欠点は頭に働きかけて、心がおろそかになること。

人間は絶対に心です。心が全てを決めるのが人間という生命です。

 

ぜひ覚えてください。

今の景は幸せそうですが、誰でも彼のようになれます。

頭ではなく心。

心から夢を抱くことです。