苦情はいいづらいものです。

ネットなど顔が見えない場合は言いやすいですが、直接会ってとなると難しい。

 

簡単に文句を言う人も中にはいますが、多くの人にとって抵抗感あることです

 

私は以前は特別支援学校で先生をしていました。

その中で誰がみても『これはマズイだろう』と思える先生はいます。

 

同じ先生の立場でもそう思うのだから、生徒や保護者の方はもっと深刻でしょう。

 

ただ相手の気持ちを慮る人や情報の不足もあって『言いたくても言えない』そんな人は多いようです。

『モンスターペアレントと思われたくない』

『相手にも事情があるから』

といった心境です。

 

今回『苦情を言うべき時はどんなときか』をお話いたします。

今、学校の先生で悩んでいる保護者の方や子どもたちの悩み解決に繋がれば幸いです。

photo by Giorgio Montersino

 

子どもを人質に取られているようなもの

私は以前は先生でしたが今は違います。

保護者の方からの生の意見というのは、先生の立場では気づかなかったことが多いものです。

 

その中で『学校に文句は言えない。子どもを人質に取られているようなものだから』という声を聞くようになりました。

これって裏返せば『学校に不満はありまくる』ということ。

でも『言えば子どものためにならないのではないか』と思うので言えないとのことです。

 

細かい文句を言うべきではない、と私は思います。

言い過ぎることは過保護につながり子どものためにもなりません。

 

ただ『明らかにこれはおかしいだろう』と思える事があるはずです。

 

『自分』『相手』『世間』

あんまり有名でもないですが『三方良し』という格言があります。

『自分のためになる』

『相手のためにもなる』

『世間のためにもなる』

この三つがそろって初めて『良い』とする。これが三方良しです。

 

三方良しは江戸時代の近江商人の格言・・といっても正確には昭和に作られたものですが色んな場面で応用出来ます。

現在で言えばWin-Winの関係が似たようなものでしょう。

 

『自分』『相手』『世間』

この三つの利益にならないことをやると身を滅ぼす、ということです。

これを苦情や告発を行う場合に当てはめていきます。

 

自分だけが損をしてないか

『自分』『相手』『世間』

この三つのバランスはモノの売り買いでは理解しやすいものです。

 

ただ人に関わる事になると分かりにくくなります。

 

例えばもの凄く働かない同僚が会社にいた場合。

 

褒めても、注意しても同僚の行動が変わらずあなた自身が苦しんでいる、そんな場合です。

まぁそもそも同僚の正確を変えるのはあなたの仕事でないのですが。

とにかく一向に働かない。貢献になっていない。そんな場合です。

 

働かないので会社のためにも、お客さんのためにもなりません。

 

こうなると同僚に非を負ってもらうしかないでしょう。

 

ただ日頃から相手を気持ちを慮る人、『相手』や『世間』のためを思って行動できている人は悩みます。

同僚に非を負わせるのは『相手』のためには一時とはいえならないからです。

 

普段から相手のためを思って行動しているので、働かない同僚のことも慮ってしまうのですね。

ただそれは”習慣”や”癖”といったもの。

 

見落としているのは『自分のためになっていない』という事実です

 

三方良しの説明で

『自分』『相手』『世間』この三つの利益にならないことをやると身を滅ぼす

と言いました。

 

三つのバランスが大事なのです。

強調しますが三つです。

 

つまり『自分のためにならない』ことをやってもやはり身を滅ぼすのです。

 

とはいえ苦情はいいづらいもの

・・・と理屈で言っても実際に苦情はいいづらいもの。

それは私自身の経験でもありますし、他の人の様子を見てても思います。

 

一つ方法というかポイントをお教えします。

苦情を言う際悩むのは『自分だけのためではないか』『周囲はどう思っているのか』という点にあると思います。

 

その際は三方良しの『自分』『相手』『世間』のうち『世間』を強く意識してみてください。

普段から相手や世の中のことを慮っている人なら出来るはずです。

 

普段やっているように3つのうち『自分』を消すのです。

 

具体的に言いますと『具体的な事実だけを報告する』という行動になります。

 

例えば一年間一緒に仕事をした同僚が全く働かず、それを上司に報告するとします。

その際は起きた具体的な事実だけを報告します。

 

『始業時刻になっているのにネットニュースみている』

『お客さんにため口をきくなど不遜な態度をとっている』

 

あくまでも事実だけです。それをどうするかの判断は上司にゆだねる気持ち。

 

自分の思いを言うなら

『私自身苦しんでいるので、来年もまた苦しむ人がいるはずだ。』

そんな表現になります。

 

あくまでも世間(ここでは会社ですね)のためとします。

 

自分が同僚の問題点を告発しなければ、また誰かが同じ目に遭います。

『あなたが不快に思っているのに、他の人は思わない』ということがあるのでしょうか。

 

例え『相手がかわいそう』と思って黙っていても、いずれ誰かが同僚を告発する役目をやるでしょう。

 

モンスターペアレントの多くは『こうやって欲しい』と自分の要望だけを言うもの。

『相手のため』『世間のため』の要素がないのです。

『自分だけ』です。

 

だから『言ったもの勝ち』という風に、キツい言葉や態度で相手を威嚇します。

そんな苦情の出し方は周り回って身を滅ぼします。

 

三方良しの苦情を出すならモンスターペアレントの逆をやりましょう。

 

モンスターペアレントの逆とは『苦情を言わない』ではないのです。

 

『自分のために言わない』※言ってもいいんですけどね

『相手の立場も考えながら言う』

『世の中のためにもと考えながら言う』

そういったことです。

 

『世間のために』という視点でもって伝えてみてください。

方法は『起きた事実を具体的に伝える』ということ。

『○月○日こんなことがありました』と紙面にしたり、連絡帳のコピーなどあればいいでしょう。

 

・・・実はそちらの方が要望は深く刺さります。

周りからも『よく言ってくれた』と共感も得られやすいものです。