小学校か特別支援学校かの進路選択は悩む要素が多くて迷うはず。
私は以前は特別支援学校で先生やっていました。
一番重要な判断基準は「自分らしさが保てるのはどちらか」です。
自分らしさとは好きなことや興味あるものや物事への意欲です。
その気持ちを保ち続けられるのは、またもっと伸ばしていけるのはどちらかなんです。
どんな勉強でも環境でも「やろう!」という意欲がないと形だけの勉強になります。そして意識しておかないと一見学校に通って順調のように見えてもずっと形だけの勉強を続けている事態にもなりえます。
本サイトは教育サイト。読めば学べるように考えてつくってあります。
まずは基礎となる「望ましい形を教えるか自分らしさを育むか」という本サイトの教育観点をあげた上でお話します。
「望ましい形と自分らしさ」
「望ましい形を教えるか、自分らしさを育てるか」
それが学校における心の成長、精神的な自立においての基本的な見方です。
「望ましい形」と「自分らしさ」は対極の関係にあります。
似た例で言えば「外見か中身か」「客観か主観か」「”やらねば”か”やりたいか”」です。
身につけると非常に分かりやすくなるので、解説させてくださいね。
望ましい形とは以下のような例です。
「世の中のルール」「一般常識やマナー」「国語、算数などの勉強」「朝の準備が出来る」「授業中は静かにしている」など。世の中や他人が求めているもの、点数など客観的な評価出来るもの。
こういった要素を「望ましい形」と表現しています。
望ましい形の反対は自分らしさ、です。
自分らしさとは以下のような例です。
「野球やりたい」「ジャニーズ大好き」「ダンスが得意」「漢字を沢山知っている」「コンクールで入賞した」など。
自分自身のやりたいこと、自分の感情を刺激する物事。主観的なもの。
そういった要素を「自分らしさ」と表現しています。
極端な例をあげてみましょう。
「望ましい形」ばかり教えると「無気力」「形だけの勉強」「嫌と言えない」「良い子過ぎる」などになります。
「自分らしさ」だけ育むと、「ワガママ」「やりたい放題」「傍若無人」となります。
「望ましい形を教えるか」「自分らしさを育むか」
心の成長、精神的な自立をしてもらうにはこのどちらかに偏ってはダメなんです。
二つの間をいく、二つのバランスを取っていくことが核となります。
バランスがとれていると「ルールを守りながら自己主張ができる」「精神的に安定する」などの状態になります。
そもそも学校とはなに?
学校とは世の中にあるルールや義務、一般常識を学ぶ場です。先ほどでいう「望ましい形」を学ぶのが学校。
「授業中は静かにしましょう」「廊下を走ってはいけません」など学校及び世の中にあるルールやマナーを教わります。
先生の評価は「授業中静かに出来ているか」「勉強はどうか」など外から見えるものを重視します。
基本的に学校は個人の想いや自己実現などは評価に入りません。
つまり「望ましい形」を学ぶのが学校です。
そして「望ましい形」と「自分らしさ」は対極にあります。「望ましい形」を学んで身につけると、同時に自分らしさを失うことにもなります。
人生の中で最も自分らしいのは幼児です。成長するにつれ、しつけや教育により社会性を身につけていくわけですが、同時に自分らしさを見失っていくことでもあります。
障害のある子にとっての小学校とは
学校というものはそもそもが「望ましい形」を学ぶ場です。小学校も特別支援学校も本質に変わりはありません。
ただ学び方やその度合いは学校により違います。
まずは小学校から説明します。
小学校は入る基準が「その地域に住んでいるか」ですよね。
1クラスの人数が多く、色んな事情を抱えた子どもたちが一つの場に集まって、一定のルールに沿って学んでいきます。
よって小学校では色んなタイプの子に出会えます。
1クラスの人数も多いわけですし、自分と同じ趣味を持つ子や全然違うことに興味関心があったりと社会の縮図を学ぶことができます。
小学校のルールは支援学校より厳しいもの。時折宿題忘れて怒鳴るような先生もいますが「怒鳴る先生もいるんだ」と学ぶのも一つの社会勉強です。実際に世の中は締め切り厳守ですから。締め切りを破って怒鳴る人も世の中にはいます。
多様な出会いのある小学校では学ぶ範囲は幅広いものです。
社会性や勉強など多種多様な学びがそこにはあります。
ただ学びが広い分、自分らしさも同時に見失いやすいのです。
厳しいルールを守るならより自己を抑えねばなりません。出来ないことがあると周りから非難されるかもしれません。
勉強についていくために遊ぶのを我慢して必死に勉強する場合もあります。
そうなると「野球がしたいなぁ」「もっと遊びたいな」など自分の好き、やってみたいという感情を抑えて行動することが増えてきます。
それが自分らしさを見失う、ということです。
もちろん、小学校に通う子全員がそうしています。自分の状況を理解して、自分らしさを抑えるのも勉強です。
ですが、障害ある子の場合、背伸びして合わせないといけない場面が出てきやすいものです。
多様な出会いと刺激により、世の中にある「望ましい形」を多く学べるのが小学校です。
反面「自分らしさ」を失いやすいのも小学校なんです。
障害ある子にとっての特別支援学校とは
特別支援学校は障害のある子が集まる学校。
ゆえに授業に自立活動という障害に関する授業があったり、少人数制に合わせた教室であったりします。
社会における「望ましい形」を学ぶのは小学校も特別支援学校も同様です。
ただ小学校に比べルールやマナーが緩やかでのんびり過ごせます。
特別支援学校は少人数制です。同世代と出会える機会は多くなく「中学、高校とクラスメイトがずっと同じ」という事態もあります。
出会いや刺激で言えば小学校と比べると薄いです。
反面自分らしさを維持しやすい利点もあります。
社会における「望ましい形」の要素は薄くなるけど、「自分らしさ」も保てやすいのが特別支援学校です。
どちらに入学するべきか
協調性がありながらも、自分の意見が言える
異性やお金の誘惑に流されず、適切な距離を保てる
人に頼りながらも、自分のことは自分でする意欲がある
そういった心の成長、精神的な自立は「望ましい形」と「自分らしさ」の両立が必要です。
「望ましい形」を学びつつ「自分らしさ」を保てる場所が最適です。
「ウチの子にとって最適なのは小学校だろうか、支援学校だろうか」
就学相談での判断基準で言えるのは「ウチの子が自分らしさを保てるのはどっちだろう?」で考えてみてください。
なぜなら学校で失いやすいのは「自分らしさ」だからです。
小学校は多様な出会いがあり、刺激の多い環境です。
「この子は小学校で自分らしさを保ち伸ばすことが出来るだろうか。まら出会いや刺激を多く望んでいるだろうか。」
そう考えてみてください。
特別支援学校はマイペースに過ごせますが、出会いは少なく刺激は薄いもの。
「この子は特別支援学校の方が自分らしく過ごせるのではないか」
そう感じるのなら特別支援学校が向いているでしょう。
この基準をオススメします。
障害ある子で地域の「小学校や中学校は楽しかった!」という子は学校生活の中で「自分らしさ」を見つけた子どもです。
「自分らしさ」とは「絵が得意」「サッカーやってみたい」「友達と話すのが楽しい」など好きや得意、楽しいなど感情が動く物事です。
就学相談の際は「自分らしさ」を基準に考えてみてください。