障害ある人の芸術活動に広がりが見られそうです。
2016年10月に障害者芸術活動推進法案が超党派でまとまり、国会で提出される予定となるニュースがありました。
この法案により国や地方自治体が作品を芸術として評価し支援していくことになるとのことです。
具体的にこれからどうなっていくか、というと障害者の中で芸術活動で生計を立てる人が出てくるだろうということ。
私は特別支援学校で先生やっていましたが、確実に世の中に通用するアーティストはいます。
自信をもって「プロ化する人は増えていく」と言えるところです。
天才は確実にいる
先ほども言いましたが私自身、特別支援学校で先生やっていて「この絵はすごい!!」と思ったことが何度かあります。
全員自閉症の男の子で2,3人そんな子がいました。
みんな無我夢中で描いている絵はどれもスゴイものばかりでした。
高校生の男の子は絵日記調の絵なのですが、独特のデフォルメがしてあって、妙な味があるのです。
実際に私以外にも先生らの中にファンはいましたし、展覧会に出したところ「売ってほしい」という人が現れ1枚1万円ほどで売れたそうです。
小学生の男の子の絵は超繊細でした。
その子は字は上手に書けないのです。ですが絵となると一級品。
多分高校生の美術部レベルの器用さは十分にあるでしょう。当然ですが私より上手。
家ではずっと絵を描いているとか。まだ展覧会には出していませんでしたが、きっと評判になるはず。
すでに法人レベルでは障害者アートを広めようと各学校を回って逸材を探す人もいます。
学校の展覧会などに入って作品をみて「これだ!」と思ったら声をかけていくのです。
こういったことが今後は全国的な展開になっていくとのこと。
障害者アートの世界は確実に広がるでしょう。
”障害者アート”というカテゴリーを外すことだってできる
実はすでに障害者の枠を外れて活躍されている方はいます。
有名どころでは滋賀県栗東市の作業所に通っておられる沢田真一さんですね。
Yahoo!ニュースやテレビでも取り上げられているのでご存知の方は多いでしょう。
沢田さんは障害をお持ちですが、世界レベルの現代美術展に出品する作品をつくっておられるのです。
実物を観たこともありますが、圧巻ですよ。
ジブリの「もののけ姫」にでも出てきそうな幻想的というか世界観のある作品でした。
今のところ沢田さんの作品などは「アールブリュット」というカテゴリーになっています。
アールブリュットとは「生のままの」という意味で専門的な美術の教育を受けていない、または伝統に沿ってない芸術をいいます。
障害ある人の芸術は今のところ「アールブリュット」というカテゴリーに入っています。
ただ芸術って「良いと感じるか、何も感じないか」の二つだと思うのです。
健常者で何の専門教育も伝統的な芸術を学ばなかった人が例えば沢田さんの作品のようなものを作れるのか、と言えばそうはならないはずですから。
どちらかというと日本の方が「アールブリュット=障害者の芸術」というイメージが先行しているのだとか。
私の素人考えですけど展覧会での発表は「障害者の方が作った作品です」という名目でするじゃないですか。
あれ「障害ある人がつくりました」ってのを先に言わないで、後の出口の帰り際で「実はこれは障害ある人がつくったんですよ」と言えばイメージは変わると思います。
もっと言えば「障害者の方が作った作品です」と言う必要も別にないのでは??と。
芸術は技術と感性の勝負ですよね。
使うのは手であり、ペンであり、筆であるわけです。条件は同じ。
作品の評価も誰が作ったかではなく「良いか、悪いか」だと思うのです。
パラリンピックとオリンピックを統合するのは補装具の関係で難しいと言われていますよね。
理由は補装具の性能が進歩しすぎて「障害ある方が有利」という状態が生まれつつあるからです。
少し前に競泳で「速く泳げる水着」が開発されて実際に着用した選手は記録が軒並み伸びたので使用禁止になりましたが、似たような問題と思います。
ただ芸術は平等です。
「アールブリュット」という言葉もいらないんじゃないかなぁ、と思います。
まぁ私は芸術の専門家ではないので何かしらの理由はあるのだろうと思いますが。
やりたいことやろうぜ!
別にお金になるから「アートしようぜ」というわけでもないのですが、プロ化への道はどんどん拓けています。
今回の障害者芸術活動推進法案は2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けての活動だそうです。
今まで自治体レベルでの芸術への支援はありましたがそれを全国的なものにしようという狙いとのこと。
アニメやゲームなどのサブカルチャーを「クールジャパン」として世界発信している流れと似ているのかな、と思います。
具体的な法案の中身を簡潔に言いますと
「作品発表の機会が増える」
「障害ある人が芸術に触れる機会が増える」
「契約や販売事業の整備」
「人材育成」
などがあげられます。
うん、良い方向に向かっていきそうです。
スポーツの世界でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けて広がり見られています。
障害者スポーツでプロになりたい。東京パラリンピックで現実化?
障害者スポーツでの奨学金制度が出来たり、企業が障害者スポーツの第一線で頑張る人を雇用したりする動きが出ているのです。
「お金になるから」という意味ではなく「お金にもなるから」と言う意味で、ですよ。
こういうニュースみると「もっと好きなことやろうぜ!」という気分になってきませんか??
ほらイチロー選手だって、本田圭佑選手だって好きなことばっかやっていたわけじゃないですか。
「俺はこれが好き!!」
「私はこれがしたいんだ!!」
って思えるものが見つかったんなら、とことんやればいいんじゃないのかなぁと思うのです。個人的にはね。