心に響く音色

滋賀県草津市に障害ある人にピアノレッスンをされている先生がいます。

「市原ピアノ教室 湖音♪」を運営されている市原幸子先生です。

今回、私がこのピアノ教室を訪れた理由は二つ。

一つは「滋賀県で障害ある人にピアノレッスンされている方がいますよ」という情報提供。

 

もう一つは、この教室に心に響く演奏をする子がいるのです。

彼は私の先生時代の元生徒でもあります。

 

昨年、彼が演奏するピアノ発表会を聴きにいきました。

感性を揺さぶる音がありました。

このような演奏はどうやって生まれたのか、どんな人が教えているのか。

お願いしてレッスンにお邪魔してきました。

 

彼だけの音がある

「ずっと何年もやっているんだなぁ」

先生と彼とのやり取りにはそんな空気がありました。

「上手になりたい」という生徒の気持ち。

「上手になってほしい」と思う先生の気持ち。

調和を感じます。

先生が「この曲は悲しい曲だから」と説明すると、応えるようにメロディーが流れます。

「あぁこれだ」と思いました。

昨年、私が演奏会で聴いて感動したのと同じ。心のあたりに響いてきます。

 

先生曰く、彼は優しいメロディーを得意とするようです。

「この子は自分の音楽を持ってるんですよ」

「魂込めて弾いていると思います」

そうおっしゃっていました。

 

市原先生は音楽療法士でもあります。

相手の音を受けとめる、こちらの音を提案する。

コミュニケーションの手段として音楽を取り入れている、とのことです。

 

2018年から先生は「おひさまはうす」という障害児者の通所支援施設を始められました。

特徴の一つとして音楽療法を取り入れています。

 

車椅子に乗る生徒さんがいるそうです。

小さい頃からレッスンを受けており、成人されているとのこと。

小さい頃は先生宅で充分でしたが、成長に伴い手狭になったそうです。

 

「もっとバリアフリーに広々とした場所で、ずっと音楽が続けられるように」

通所支援施設はそんな願いから作られたとのことです。

 

「最初から施設を考えてたわけじゃないですよね?」

私はそう質問をぶつけました。

「全然考えてなかったですよー(笑)」と先生は笑っていました。

 

最後に「教室を開いてて一番嬉しかったことは何ですか?」と質問しました。

しばらく考えて。

「気持ちが通じ合ったときですね」と答えてくださいました。

一緒にピアノを弾いていると「ピタッ」と合うときがある、そんな瞬間に嬉しさがあるとのことでした。

 

彼には表現したいものがあります。

表現の技術を学び、奏でる音に魅了される人がいます。

 

みんなと一緒のことをしていては咲かない、個性という花があります。

 

「この子には自分の音楽があるんです」

嬉しそうに話す市原先生は、花の存在に気づいていらっしゃる方だと思いました。

 

レッスン室には写真が飾られていました。

花咲いた子、咲きかけている子、まだつぼみの子。

色んな子がいて、それぞれにドラマがあります。

個性という花を音楽で咲かせようとしている子どもたちの写真です。

 

 

 

市原先生のピアノ教室は滋賀県草津市にあります。

詳細は以下のリンク先からどうぞ。

市原ピアノ教室 湖音♪HPへ