働くには何が大切?
『支援学校の先生からもっと頑張るよう言われた』
『将来ちゃんと働けるか不安』
将来に対して漠然とした不安感を誰でもお持ちではないかと思います。
観念でなく実際、私が卒業生に出会った実感からの話をします。
私は障害ある子どもたちで集まっての障害者スポーツ団体の運営をしています。
その中で知的障害ある女の子がいます。彼女は車椅子で作業所で就労しています。
先日、彼女が練習に参加しました。
会うたびにテンション高く、絵に描いたような思いやりあって頑張り屋の彼女です。
学校時代から彼女の周りには人が集まっていました。
頑張り屋ですが無理してるわけでもないんです。
「今日は甘えちゃったよー♪」と堂々と人に頼る一面もあります。
休憩時間にお茶飲みながら話しました。
毎回なのですが、彼女は私に営業をしかけています。
彼女の名誉でいいますと、誰彼にも営業しかけるわけじゃないですよ。
私は彼女を3年間担任していて気心知れた仲なのです。
「なぁなぁ、またケーキ買ってなぁ」と作業所のお菓子を勧めてきます。
彼女はなぜ営業をしてくると思いますか?
利益や売り上げやお給料でしょうか。
参考までに彼女にお金の概念はないと思います。
算数や国語を学ぶクラスにはいませんでした。
むろん、歩合制で働いてるわけもないです。
彼女は誰かに喜んでもらうためにやっているんだろう、と思います。
彼女は優しい気持ちの持ち主です。
学校時代は友達が泣いていたら慰めにいく姿を見かけました。
自ら車椅子を漕いで「どーしたん?」と背中をさすります。
そうすることで気持ちが救われることを知っているからでしょう。
きっと今も、あのときの感覚で働いているのです。
売れれば、作業所職員さんが喜ぶのはもちろんだし、職場仲間も喜びます。
「ケーキ売れれば、みんな喜ぶだろうなぁ」そんな感覚なのだろうと。
休日の余暇活動でも営業するのも「喜んでくれるだろう」がきっと動機。
彼女は仕事で大事なことを知っていると思います。
先生の言うように、労働の義務やお金で働くのも一つの感覚だと思うのです。
ですが長続きするにはもう一つ。
「誰かの役に立ちたい」「喜んでくれることが嬉しい」
こんな気持ちが持てるかも大事な要素です。
優しい気持ちを抱けること。
それが将来、働くことにまで良い影響が出ます。
温かさ最優先にしてもらって大丈夫です。
お子さんへの課題意識を強めると、空気が冷たくなることもあるでしょう。
例えば学校から帰ってきて「今日は楽しかったかな?」と思いやるだけで、あなたのしぐさや言葉には温かさがこもります。
その温かさでお子さんの気持ちも温まります。
お子さんの言葉やしぐさなどに注目してみてください。
雰囲気が柔らかくなる様子あると思います。愛情が届いた証拠です。