私は以前は特別支援学校に勤務しておりました。
今回は特別支援学校高等部を卒業した際の資格についてです。
「高卒」資格はとれない
特別支援学校高等部を卒業すると資格としては「特別支援学校高等部卒業」という資格になります。
「特別支援学校の高等部を卒業しました」ということで地域にある高校とは別の資格となります。
いわゆる一般的な「高卒」という資格は取得できないということです。
これは視覚・聴覚・肢体・病弱・虚弱含みます。
理由を説明します。
特別支援学校には自立活動など独自の領域があります。時間割なども違います。
よって「高卒の資格とはならない」というが根拠です。
同じ理由で例えば外国の高校に行っていた人も「高卒」の資格でとはなりません。
外国の高校もカリキュラムなどは違いますから、
高等部卒業なのに「高卒ではない」というのは何だか腑に落ちない話かもしれません。
ただ、ここらは考え方次第だと思っています。
とりあえず続きを読んでもらえますか。
大学受験資格はある
支援学校卒業でも大学受験資格はあります。
実際に特別支援学校卒業で大学や短大に進学した人はいますよね。
法律では大学の受験資格とは「12年の学校教育を修了したもの」なのです。
小学校6年、中学校3年と高校3年の合わせて12年。
その中に特別支援学校の高等部3年間も含まれるのです。だから大学受験の資格はある。
大学進学に関しては「高卒」と同じと考えることが出来ます。
大検や高卒認定も「高卒」ではないんです。
大検や高卒認定は大学の受験資格がもらえるということ。「あなたは高校を卒業しました」という意味ではありません。
そう考えると「高卒の資格がない」というものも重要視しなくていい人もいるのではないでしょうか。
進路はどうなるの?
特別支援学校高等部に入る子どもを対象に話します。
まず作業所への福祉就労を考えている場合は「高卒」という資格は関係ありません。
支援学校からの進学は専門学校や短大、4年生大学へ進学する子もいます。
問題となるのは支援学校高等部から、一般企業への就労する場合です。
「障害者雇用枠を使わずに就労する」という場合であれば高卒の資格がないことはハンデとなりやすいでしょう。
ただ「障害者雇用枠を使う」というのであれば大きな問題とはならないでしょう。
「正社員になれるの??」など疑問に思われるかもしれません。
地域や会社にもよりますが、「支援学校卒⇒非正規雇用⇒正社員へ登用」という道筋もあります。
ちなみにですが「週3回だけ出社」「午後3時までの勤務」などその子の特性に応じての就職斡旋もしてくれます。
「特別支援学校だから就職に不利」とは一概には言えません。
なぜ事前に教えてくれないのか
特別支援学校高等部入学にあたり「高卒資格はありません」という案内はされにくいものです。
「実際に入学してから知った」という保護者さんもいます。
案内されないのは「高卒資格がなくても支援学校では進路に大きく影響しない」「先生自体も知らない」など様々に思われます。
学校の肩を持つのではないですよ。
私の実感ですが支援学校から就職する場合は経歴は考慮されません。
特別に苦手なことがあっても配慮を受けながら就職出来ます。
大事なのは本人が人生に前向きかどうかです。
「高等部卒業に高卒資格がない」の説明は不足しています。
不信感を抱かれるかもしれませんが、本記事で納得いただける方がおられれば幸いです。