障害者差別解消法がスタート・・・でどうなるの??
障害者差別解消法が2016年4月から施行されました。
テレビや新聞報道で多く報道されているのでご存知かと思います。法律制定の背景等は各報機関に任せて、このサイト「障がい者生きがい支援サイトen」ではこの法律が障がいを持っている方に対してどのような影響を与えるのか、という切り口で説明していきます。
「障害者差別解消法」のポイントは「障害があるので○○してほしい」というような申し出が通りやすくなった、ということです。
例えば車椅子の人が「段差があって通れないのでスロープ(傾斜台)をつけてほしい」と申し出をすれば、それが役所や学校などの公共団体であれば、その申し出は”原則として”通ります。
「以前は通らなかったの?」という疑問を持たれるかもしれませんが、その答えは「通ったり、通らなかったり」でした。
「車椅子の人が通れないのに、通るための配慮をしないのは差別である」という明確な基準はなかったのです。
その他にも、具体例が示されていないために「どういったことが差別なのか」が分からず、いわば「その場の状況」によって判断が左右されていたわけです。
この問題によって生まれたのが障害者差別禁止法です。この法律では「どういったことが差別なのか」という基準が明記されました。
具体例はこちらです。
例えば公共交通機関では
- 券売機の利用が難しい場合、操作を手伝ったり、窓口で対応したりする(鉄道)
- 停留所名表示器などの設置のほか、肉声による音声案内をこまめに行う(バス)
- 車いす等の大きな荷物のトランクへの収納の手助けを行う(タクシー)
- 障害のある利用者が化粧室に行く際に、移動を手伝う(飛行機)
- 障害の特性を理解した上で、適切な接遇・介助を行えるよう教育・研修を行う
といったことが挙げられています。
みなさんも今まで「これって差別じゃないの??」といような不当な扱いや疑問を日常で感じられたことないでしょうか。
そのような出来事があった場合、先ほど挙げた「内閣府による合理的配慮等具体例データ集」を見て、それに該当していれば役所等にある苦情相談、行政相談、法務局などに申し出ればよいのです。
「内閣府による合理的配慮等具体例データ集」にある内容であれば、守るべき法的義務があるので”原則として通る”ことになります。
ただし法的義務があるのは法的義務があるのは行政や公共団体に限られます。
身近でいえば市役所や学校などですね。
町にあるお店や飲食店などに法的な義務はなく、「守るようにしましょう」という努力義務があるのみです。
努力義務なので「障害があるから○○してください」という申し出が正当であっても、民間事業者の場合は「出来るだけ配慮します」ということで、それが達成されなくても仕方ない、ということになります。
なんだか残念な気もしますが、こういった法律は浸透するまでスタートは慎重に行われるのが常です。法律があることで人々の意識も多少の影響はあるでしょう。3年後に法律の見直しもされるようですし、今後変わっていく可能性もあります。
で、どうするか
どのような知識でも「ふーん、そっか」で終わらせては意味がありません。使ってナンボです。
この法律を使えば、今まで無理と諦めていたり、不条理と感じたことがなくなっていくことになります。
例えば、「車椅子に乗っているから」という理由で公立学校の入学を断られた、というのは聞く話です。ですが「障害を理由に入学を断ることは差別である」と障害者差別解消法で明記されました。申し出があれば学校は合理的な配慮をする義務があるので対応しなければなりません。
をみる限り、大きく変わりそうなのは高校、大学などの教育に関する分野だと予測されます。
例えば、
・(障害によって)人前で発表することが出来ない場合、レポートなどの代替え手段が認められる
・障害を理由とした入学の拒否は認められない
・言葉の理解が難しい場合は写真や絵カードなどの視覚による表示を求められる
・試験では必要に応じて時間の延長や受験場所の変更などが認められる
といったことは発達障害や身体障害の方には朗報でしょう。
今まで諦めていたことが実現するチャンスです。
障害を持っている人の進学率は諸外国と比べ日本は低いです。私の身近にも大学進学にあたり、相当の苦労をして入学を果たした人がいます。この法律に関しての知識があれば、こういった事態は大幅に減るハズです。
ご自身でなくても構いません。あなたがそれを知っていれば、知人が入学等で悩んでいたときにアドバイスすることも出来ます。
もう一度リンク先を載せておきますね。
この法律を知識として頭にいれておけば、みなさんの生活の改善の役にたつことでしょう。