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スパイダー、ハンドサイクル、ベビーロコ。障害ある子の遊び場づくり。滋賀県の遊☆VIVA!!の話

更新日:

障害ある方々と関わる仕事をして10年くらい経ちますが、長くなればなるほど。

『障害の重い人ほど”外で遊ぶ”って難しいよな』

と感じるところです。

 

原因の一つに『環境が整っていない』というのがあります。

『出かけたくても適した場所が少ない』ということです。

 

私は滋賀県で障害者スポーツボッチャの普及活動をしていますが理由の一つが重度障害の人ほど余暇活動が少ないという現状からです。

「何とかならないものか」と思ってたら同じようなことを考えている方々が近くの滋賀県にいました。

 

どんな人たちかというと遊☆VIVA!!というイベントのスタッフの方々です。

遊☆VIVA!!=遊び場、ですね。

参加者は車いすに乗る子どもらとそのご家族です。

 

 実行委員代表の内藤さんに教えてもらいました

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内藤さんのお写真はこちら。非常に情熱のある方でした。

 

遊☆VIVA!!の活動母体はどちらなのでしょうか?

始まりは医療福祉法人びわこ学園の学習会です。2回目以降は『遊びと環境支援協会PATESS(パテス)』からの協力と共催を受けて開催しました。今年からは遊☆VIVA!!実行委員というのを立ち上げて独立した形で行っています。

数年で3回も母体が変わっているんですか?

失礼でなければその理由を教えていただきたいのですが。

母体が変わったのは「どのような運営形式がいいのか」を模索していった結果です。

現状として障害の重い子どもたちは遊べる環境に乏しく横のつながりも薄いため遊びの機会に恵まれていません。

『○○君、今度一緒に遊びに行こう』

といった感覚で遊びに行ける環境が整っていない、ということです。

遊☆VIVA!!は一つのモデルづくりなんです。

ある程度の「遊びのモデル」を我々がつくります。

このモデルを各地域で引き継ぐなり、模倣するなどして取り組んでもらえればと願っています。

そのためには福祉法人を母体とするのではなく、遊☆VIVA!!を独立させた方がいいだろうと考え今の形になりました。

この会は『遊び場をつくろう』という有志の集まりなんですね。

スタッフの皆さんも名称がボランティアではなく「遊☆VIVA!!フレンズ」となっていますが、そこにも思いが?

ボランティアという名称には「する側」「してもらう側」という意識があります。遊☆VIVA!!ではそういう垣根をなくたいという思いから「一緒に楽しもう」ということで遊☆VIVA!!フレンズという呼び名にしました。

我々は企画する側ですが「やってあげている」のではなく「出来ないことは手伝いつつ一緒に遊ぶ、楽しむ関係でありたい」と考えています。

 

遊☆VIVA!!の遊び紹介

遊☆VIVA!!は滋賀県の県立障害者福祉センターで開催されました。

全体の様子はこんな感じ。体育館の大アリーナや小アリーナで遊び道具を揃えて各家族間で楽しんでいくという形です。

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実際の遊具を紹介していきます。

まずはハンドサイクルという乗り物。

足でこぐのではなく、手でこぐというもの。

ハンドル部分はこうなっています。

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自転車の動力部分がハンドル側にきているわけです。乗っている子らも嬉しそうでした。

乗り物のビジュアルといい、このメカっぽさといいカッコいいです。特に男の子にはたまらないものがあるのでは、と。

個人的にもこういうメカっぽいのはツボなのです。写真のように誰も乗っていない時間があって「乗せてくれ」と頼もうかと思いましたが、そんな空気では全然なかったのでやめておきました。

 

続きましてこちらです。

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『椅子?』

とお思いでしょうがただの椅子ではございません。椅子の下に動力がついており動かせるようになっています。

名前はベビーロコといいます。

動力部分をアップするとこんな感じ。

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車輪があるの分かりますでしょうか。

小さい子用の電動車いすと思っていただければよいかと。

 

続きましてマルチロコという電動の移動支援機器です。

立位台をご存知の方であれば「足漕ぎ電動立位台」とイメージされればいいでしょう。

画像はこちら。

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立位が取れない場合でもこれだと安定しますね。

仕組みは足にペダルのようなものがありまして、前後に動かすと前へ進むようになっています。

 

似たようなもので言えば電気自転車でしょうか。

こぐ力をモーターが補助してくれる仕組みです。歩行器で歩けなくてもこれだと前に進む経験が出来ますね。

 

「ガンダムが好き」みたいなロボ好きな子ども(大人含む)にはたまらないでしょう。

個人的にも乗ってみたかったです。昔のデパート屋上にあった乗り物を思い出します。

これ1回100円でも乗る人いるんじゃないかな。こういうメカ的なのを使ってのリハビリは楽しそうですね。

 

 

続きましてスヌーズレンです。

スヌーズレンとは目や耳など五感を使って楽しむリラクゼーション活動のこと。

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重度の知的障がいの子の活動として作られたスヌーズレンですが視覚、聴覚、触覚など五感へ訴えかけるので誰でも楽しめます。

話脱線しますが、私自身昔学校の先生としてこのスヌーズレンを経験しましたが、子どもがリラックスするのはもちろん引率者もリラックスします。

 

写真にもあるように暗い空間でキレイな光の装飾や心地よい音楽、香りなどを味わうのです。

スヌーズレン中にリラックスして眠る子がいますが、先生も眠くなるんですよ。

教室に複数人先生いて30分ほどスヌーズレンすれば大体1人は寝ています。※私も寝ています。

 

スヌーズレンコーナーで面白いものを見つけました。

私自身経験して心地よかったですし、これは多くの子どもにとってストライクなはず。こちらです。

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箱の方です。光るくまさんではありません。

大きさは長さ150センチほどで子どもが十分横になれる大きさ。

箱の中にはスピーカーが入っており横になると音楽に合わせて振動します。

箱の中はこんな感じです。

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BOSEというブランドのスピーカーで重低音が響きます。

子どもの好きな音楽を流せば音楽と揺れ刺激が同時に楽しめるわけです。

 

音楽揺れ刺激

 

この二つが大好きな子いますよね。そんな子にとってはたまらないアトラクションでしょう。

楽しすぎてここから動かなくなる子どもと困っている大人の姿が目に浮かびます(笑)

 

 

”スパイダー”について高塩先生にご教授いただきました

最後にスパイダーという治療器具を紹介します。

治療器具といっても子どもが楽しめる仕組みになっているので子どもたちは楽しんでやっています。

 

こちらは動画の方が分かりやすいかと思います。

YouTubeにて動画を発見しましたのでこちらをご覧ください。

 

このスパイダー先述したように遊具の要素もありながらの治療器具です。

スパイダーの第一人者でびわこ学園医療福祉センター草津所属の高塩純一先生にお話しいただきました。

 

高塩先生です。柔軟な発想で非常にプロ意識の高い先生でした。

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このスパイダーというものは?

スパイダーは1996年に元々はポーランドで開発されたものです。

ここにあるものはスパイダーがアメリカに渡り発展したものです。違いはポーランド製は支柱にチューブをつけますがアメリカ製は網状のゲージの中で行います。

日本では2007年に導入されました。

※実際はこちらです。

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どのような効果を狙ったものでしょうか?

肢体不自由の子どもが立位をとって自発的に動けることを目的としています。

立位の課題となるのは重力です。立位の姿勢になると多くの子どもは体を屈めてしまいますが、これは重いから、怖いからです。

スパイダーはその重力を軽減して安定した姿勢を作ってくれます。

姿勢が崩れる心配がないので子どもは安心して動けるのです。

その安心の中で子どもは「こうやって身体を制御するんだ」ということを学んでいきます。

従来ある肢体不自由児の身体アプローチ法とは違った要素があるように感じますが?

今までの訓練方法は”正常発達へ導くもの”が主流だったと思います。

スパイダーは「本来その子がもっている潜在性を自分で見つけながら運動を身に着けていく」というものです。

スパイダーでは転ぶことがないので子どもたちは色んな動きを試すことが出来ます。

安心できる環境の中で身体制御の失敗と成功を繰り返すわけです。

「こういう身体の使い方だと安定するな」

「こうすると崩れるんだな」

ということです。

本来運動学習というのは自らの試行錯誤の繰り返しですよね。

従来の学習方法は”動き方を教わる”傾向がありましたが、スパイダーは”動き方を学ぶ”ということに狙いがあります。

 

全国的な取り組みではどのようになっているのでしょうか?

特別支援学校では九州や大阪、広島、高知、香川、大阪、京都、三重、静岡、東京、北海道などで導入されています。

大阪の学校では5台のスパイダーがあり、小中高等部の児童生徒が自立活動の時間で取り組んでいます。

大きいフレームサイズがあるので身体が大きい大人でも可能なんです。

アメリカでは脊髄損傷や脳卒中の治療でも使われていますよ。

スパイダーは治療活動ですが、遊ぶように楽んでいる子どもや保護者の方、遊☆VIVA!!フレンズさんの姿が印象的です。

スパイダーによる学習は「訓練は辛いもの」「頑張らなければならない」という観念を変えるものです。

この観点の転換は良い親子関係にも影響します。

辛い訓練は「頑張らなくちゃいけないんだ」と子どもを追い詰めてしまうときがあります。

スパイダーにそのような観点はなく「楽しくても育んでいける」という新たな観点をもたらしてくれます。スパイダーはする子も保護者も笑顔なんです。そちらの方が関係性においても良好ですよね。

 

『○○したい』という夢が意欲と工夫を生み出す

高塩先生ですが、こんなこともおっしゃっていました。

私はなるべく早い段階から電動車いすに乗ってもらいます。

子どもは動けるものに乗ると探検をします。探検で得た色んな発見や喜びは「色んなところへ行っていたい」という意欲につながるからです。

「歩く練習の前に歩く目的を持ってもらう」ということです。

 

目的のない努力は誰も出来ません。

比べて考えてみてください。

「将来は医者になるんだ」という目標を持ちながら勉強している学生と「勉強しなさい」と言われたからやっている学生。

どちらが好成績を出せるでしょうか。

 

「甲子園へ出たい」という想いで練習している野球少年とただ惰性で練習している野球少年。

将来どちらが上手になるか。

 

目的が出来ると人は頑張れます。努力する理由ができるからです。

先生や親に言われたからリハビリをしている子と『自分の足で探検してみたい』という想いをもってリハビリしている子では結果は変わってくるでしょう。

 

『~しなければならない』よりも『~したい』という希望を持ちながら取り組む方が良い結果が生まれます。

 

この遊☆VIVA!!自体がそうですね。

このイベントにはたくさんの創意工夫や仕掛け、思いが込められています。これは「子どもたちの遊び場をつくりたい」という夢が為せるものです。

 

この遊VIVAが上司からの命令、すなわち「しなければならない」という気持ちから開催されているものであれば、このような結果には至らないでしょう。

おそらくは昨年通りの内容が毎年繰り返されるイベントになっているはずです。

 

最後に保護者の方からこの遊☆VIVA!!の意義についてご意見いただきました。

この会には友達と一緒に遊んでいる経験や遊ぶことを味わって欲しくて参加しています。

普段お出かけはしていますがバギーに乗っての散歩が多いんです。地域のお祭りに行ってもトイレの問題などがあって行ってはみたものの楽しめなかったということがあります。

この会では障害を持った子が楽しめる乗り物を沢山用意してくださっています。普段車椅子に乗っている子どもは日ごろない経験が出来ますし、親としてもそんな姿を見れるのは嬉しいです。

ただ保護者は子どもの世話をしなければいけないので保護者だけでは遊☆VIVA!の開催は難しいかな、と思います。

その他運営においても遊☆VIVAフレンズさんの助力がなければまだまだ難しいという感じです。

 

「遊☆VIVA!!のイベントがなくても子どもたちが地域で普通に遊べるようになってほしい」

というのが遊☆VIVA!!実行委員さんの願いですがまだ先は長いかも知れません。

 

ただそれが『○○したい』という夢からなるものであれば少しづつ目標に近づいていくことと思います。

会への参加は滋賀県以外でも可能で、実際に関東からの参加者もいるのだとか。

参加者もかなりの人数が参加されており、それだけ支持されています。

 

フィナーレの演出がまた良かったのですが、最後は遊☆VIVA!!フレンズによるアーチが作られ、一人ひとりがその中をくぐっての退場でした。

 

おそらく”仕事”でやっているなら普通に解散だと思うのです。

 

でも遊☆VIVA!!は違います。最後はアーチでお別れ。この発想です。

アーチをくぐる経験自体なかなか出来ないですし、走り抜ける子どもと家族の方も嬉しそう。

最後まで演出にこだわる姿勢がまた素敵です。

 

アーチを作る遊☆VIVA!!フレンズさんも笑顔。くぐる子どもとその家族もまた笑顔。

 

「障害を持つ子とその家族、そして遊☆VIVA!!フレンズが共に楽しむイベント」

というコンセプトは成功しているのではないでしょうか。

 

そんな一つ一つの発想に『楽しんでほしい』という想いを感じた滋賀県でのイベント遊☆VIVA!!でした。

遊☆VIVA!!は毎年開催とのこと。次回は2017年になりますが開催告知はこちらでもさせていただきたいと考えております。

 

また私個人の話ですが、この遊☆VIVA!!さんの活動には強い信念を感じました。

”障害ある子の遊び場づくり”

本当に必要なことです。

その実情と遊☆VIVA!!さんの活動理念や活動そのものを多くの方に知っていただきたいと考えております。

よろしければFacebook、Twitter等でのシェア、拡散のご協力をお願いいたします。

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